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 これからの都市基盤のOSとしての自治体GIS構築に向けて

 地方自治体業務で使用する地域と住民に関するGISを総称して「自治体GIS」と称されています。 自治体GISは、街づくりについての公開や住民とのコミュニティのツールとして、また行政情報のデジタル化による行政改革(DX)など、これからの新しい都市基盤のOS(オペレーティングシステム)として期待されています。
・自治体GISと基盤地図
・基盤地図・基盤地図情報のスパイラルアップ更新
・蓄積された、基盤地図の更新手法
・自治体GISの構成

 自治体GISと基盤地図  

【基盤地図】
 GISは、電子地図上の位置の基準となる基盤地図が必要です。
 特に自治体GISでは、大縮尺の地図データ(基盤地図)が不可欠で、どのような地図データを基盤地図として使用するかが、効果的なGISを構築するための重要なカギとなります。

【業務で作成する地図】
 自治体の街づくりや公共施設の維持管理に必要な図書は、法令で備え付けが義務化され、業務の特性に応じて縮尺レベルが規定されています。自治体GISで使用する基盤地図も、これらの基準を満たした地図データが必要です。(表_01)

【相互利用】
 各業務で作成された地図データを相互に利用するためには、電子地図上(GIS)の共通の位置の基準となる基盤地図が必要です。
 共通の基盤地図を使用することで、業務間で相互に利用したり、全庁システムとしての統合型GISにより、オープンデータの基盤として利用することができます。

【自治体の地図データは国土の位置の基準である基盤地図情報として集約されている】
 自治体で作成された地図データのうち、道路台帳図や都市計画図など正確で汎用性のある地図データは、国土地理院により電子地図上の国土の位置の基準として、基盤地図情報に集約されています。
 自治体の共通基盤地図を公共測量成果として整備することで、基盤地図情報に集約され、国や都道府県から提供されるハザードマップなどの情報と、自治体の情報を一体的に利用する高度なGISを簡易に構築することが可能となります。
 
【情報公開や行政手続きのオンライン化のプラットホームとして】
 この基盤地図情報や地理院地図は、国や自治体による情報公開や行政手続きのオンライン化のための各種GISプラットホームの基盤地図として、誰でも気軽に利用できるようなりました。


    表_01_法令で図書の整備が義務付けられている主な業務       

 主な業務  縮尺  整備の根拠法  整備基準
都市計画図
(区域・都市施設等)
 1/2500以上  都市計画法第14条  都市計画法施行規則 第9条
道路台帳図  1/1000以上  道路法 第28条  道路法施行規則 第4条の2
公園台帳図  1/1200以上  都市公園法_第17条  都市公園法施行規則 第10条
指定道路図  1/2500以上  建築基準法_第42条関係  建築基準法施行規則第10条の2
下水道台帳図  1/600以上  下水道法_第23条  下水道法施行規則第20条
水道施設台帳図 *ー  水道法_第22条の3
(改正令和元年10月1日施行)
 水道法施行規則 第17条の3
住居表示台帳  1/500  住居表示に関する法律第9条  街区方式による住居表示の実施基準
昭和38年7月30日自治省告示第117号
 地籍図 1/250
1/500他
 国土調査法_第2条・第21条他  国土調査法施行令第2条
地番図・家屋図
 1/1000以上
 地方税法_第380条3項  固定資産現況調査標準仕様書
財)資産評価システム研究センター


地理空間情報活用推進基本法                                                  
(定義)

 第2条 この法律において「地理空間情報」とは、第一号の情報又は同号及び第二号の情報からなる情報をいう
  一 空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報(当該情報に係る時点に関する情報を含む。以下「位置
    情報」という。)
  二 前号の情報に関連付けられた情報

 2 この法律において「地理情報システム」とは、地理空間情報の地理的な把握又は分析を可能とするため
   、、電磁的方式により記録された地理空間情報を電子計算機を使用して電子地図(電磁的方式により記録
   された地図、以下同じ。)上で一体的に処理する情報システムをいう。

 3 この法律において「基盤地図情報」とは、地理空間情報のうち、電子地図上における地理空間情報の位を
   を定めるための基準となる測量の基準点、海岸線、公共施設の境界線、行政区画その他の国土交通省令
   で定めるものの位置情報(国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)であって電磁的方式に
   より記録されたものをいう。

 4 ・・・省略・・・

(地図関連業務における
基盤地図情報の相互活用               
第17条
 国及び地方公共団体は、都市計画、公共施設の管理、農地、森林等の管理、地籍調査、不動産登記、
  税務、統計その他のその遂行に地図の利用が必要な行政の各分野における事務又は事業を実施するため地図
  を作成する場合には、当該地図の対象となる区域について既に整備された基盤地図情報の相互の活用に努め
  るものとする。 


基盤地図と基盤地図情報のスパイラルアップ更新

 自治体GISの基盤地図は、国土の位置の基準である国土地理院の基盤地図情報と、地方自治体の基盤地図を相互に連携して更新することが重要です。
 国は高速道路や国道を、都道府県は都道府県の道路を、市町村は市町村の管理する道路を、と分担して整備された地図データを、国土地理院が集約して整備している地図情報が基盤地図情報です。
 この基盤地図情報は、さらに国土地理院により注記などの情報を加えて、汎用的に使用が可能な地図情報のベースとして電子国土基本図として整備されて、オープンデータとして提供されています。
 電子国土基本図は、現在推進されている行政情報の
デジタル化の取り組みの中で、国及び地方自治体における標準システムの共通の情報基盤となるベース・レジストリとして重点整備されていることになりました。

【国と地方自治体の連携でスパイラルアップ更新】

 このように、国と地方自治体がGISの基盤地図を、各種の測量成果を使用して効果的に、新鮮で高品質な地図データの更新を実現する手法を、スパイラルアップ更新といいます
  GISNEX54号より↓


【スパイラルアップ更新の概要】 

 











 GIS官民協議会で蓄積された、基盤地図の更新手法

 自治体GISの基盤地図は、道路や建物の変化に応じて修正・更新をする必要があります。基盤地図は更新しないとすぐに劣化し、更新されていない地図データではGISの効果は発揮できません。
 ・基準点を使用した空間基盤データの構築
  ・豊中市の道路台帳システムについて
 ・データ更新における竣工図面の利用の有効性と課題
 ・
民間データを活用した空間基盤データの整備
 ・
街区基準点を活用した空間基盤データの整備(GIS官民協議会2006年総会)

 自治体GISの構成





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